変身
実存主義『実存は本質に先立つ』
普遍的・必然的な本質存在に相対する、個別的・偶然的な現実存在の優越を主張する思想的立場...だそうな。
ど阿呆な私にはよく解らん。
哲学や思想で討論とか御免被るよ...面倒だし現実問題が解決する訳ではないからな。
なんてのは...ご立派な実存主義ですな。
いや、その次に来る功利主義かいな?
本来、哲学や思想なんてものは真理を追求する学問だし、実存は今ある現実を優先するんだから...最初から相容れない自己矛盾を抱えてる訳だ。
まあこの場では、実存優先は結構だけど...あんさん本当に実存してるのかいな?
本当は虚構にしか過ぎないかもよ...てな現実逃避の場でして、そこんとこひとつよろ。
さてと...
フランツ・カフカ...実存主義作品の先駆者と謳われているが、ニートの先駆者でもあるらしい...はてさて。
ある朝...グレゴールザムザが不安な夢から覚めると、ベッドの中で自分の姿がとてつもなく大きな毒虫に変わっている事に気づいた...
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当然ご存知ですよね?
では簡単に...
暗い性格の父母兄妹の4人家族。
家計をひとりで支えるお兄さん...何が原因が全く解らないけど、朝起きたら巨大な虫に変身してた...何ですかそれ?
最初は今まで通り接してた家族だけれども、稼ぎが無いんでさあ大変。
仕方がないので、皆で頑張り食い扶持得られるようになると気持ちも明るくなるてなもんで...逆に、何もしない兄さん虫がだんだんうざくなる。
お前いらね!出てけ!
妹さんに追い出され...終には、兄さん虫死んじまう。
厄介者いなくなり家族はすっかり明るくなりましたとさ...というお話。
なんとも不条理な話だなあ...
まあ...思想的なものとの括り付けとか、様々な解釈は他の方々にお任せするとして...
読者全般的に、この作品に何らかの高尚な意義が含まれてると期待盲信し過ぎなのではなかろうか。
確かに、虫が何を表し変身の原因が何かで解釈が変わってくるのは解りますけどね...作者境遇の自虐話が根幹ですわね。
執筆100年てな事で、これまでに多数多数のメディア展開がされてまして...
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ご紹介のみにて。
あと...東野圭吾の同名作品を映画化した作品とかありましたが...
あれは、脳移植か何かで、徐々に他人に変わる話でしたかな。
漫画作品もありますが...他人様の才能にすぐ嫉妬する神様が...
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では簡単に...近未来。
人類は、増え過ぎた人口の抑制と絶滅に瀕した動物達の保持のため、犯罪者などの社会不適合者を動物などに改造していた...
既に動物とされた恋人を護るために、人を殺した自然公園の監視員サムザは、その罪で虫に改造されてしまう。
通常なら数月の短命である筈が、年を経ても生き抜いていた。
ある夜...サムザの背中が割れ巨大な羽虫が現れて、自然公園の管理所長を襲い命を奪う。
これこそが、虫に変えられたサムザの真の変身だった...というお話。
虫には、社会不適合者の烙印で留めず、脱皮にて社会への復讐者や自然からの報復代行者までに昇華投影させてるのかいな...いかにも治虫臭い。
こんなところで。
...軽くしないとな。
(以降は未整理殴り書き...気にしないで)
(未整理書きかけ)
そう言うと身も蓋もなくなるので、この場的には...変身前、変身後から死亡まで、死亡後の遷移に注目して...
変身前は描かれてないし、描く必要もない。
心身健全な、現実の存在だから。
虫が何を表すか、変身の原因は何かで解釈が変わる。
ここでは...
これまでの自分とは異なる状態、者や物。
原因は、変身せざるを得ない危機的な何か(不安な夢)で留め置く。
最初は、虫である事を『発見』したのである。
それは、存在は虫(新存在)であれど意識は人(旧存在)として存在していた事に他ならない。
死ぬ直前の意識は虫である。
徐々に、人の意識は消えたのか、虫の意識と融和したのか...いずれにせよ、人(旧存在)の放棄である。
そして、虫(新存在)は最終的には家族に拒絶される。
そして死後、家族の総意の代弁者としての意識。
そこには、人(旧存在)であり虫(新存在)での心身は既に存在しない。
そしてこの事は、これまでの存在の全放棄であり全否定に他ならない。
本作品を実存作品とする連中は何をどう解釈しているのだろうか?
主人公以外の家族の行動動機こそが、実存主義に基づいてる。
在るがままに受け入れ、(自分達の)課題解決に努め、存在意義が無いものは破棄する。
在るがままに受け入れてるが故に、主人公が人から虫(旧存在から新存在)に変化しかけている(人の心は残存しているから)事に気付かず、事の重大性に気付かず、人に戻す努力はない。
気付いた時には手遅れで、破棄へと繋がる。
死後の家族...いや、社会の代弁者としての意識こそが正しいと主張するのだろうか?
むしろ...実存していることに対する認識の危うさを示しているとしか思えないのだが...
別の穿った表現だと...
働かざるもの(現実世界の価値観での役立たず)食うべらず。
諸事情・理由関係なく(存在意義のない奴は)逝ってよし!
むしろ逝け!
...てところか。
存在意義を見つけられない、或いは失った方々を自殺へと追い込んでしまう訳だ...
やはり...阿呆な不条理作品として捉えておくのがよい。
他にも...
ヤン・ニェメツ監督『変身』 1975年(テレビ映画)
キャロライン・リーフ監督『ザムザ氏の変身』 1977年(アニメーション)
ジム・ゴダード監督『変身』 1987年(テレビ映画)
おまけ程度で...
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