百億の昼と千億の夜

lightsilver2012-09-27


最初にお詫びから...
この場にて、その時思いついたまま阿呆な事書き倒していますが、論評としては全く信用ならない糞みたいなものでして...その点お許しを。
偉大なる作品群を貶める気など無く、幸いにして現在の環境下では、的確適切な論評が近隣に存在しているからこそ成立する相対的なお遊びとご理解願いまする...てな感じで。


さて...
そういう点で正面切ってまともには手が出せない偉大なる作品なのですが...本日はこれ。

百億の昼と千億の夜 (ハヤカワ文庫JA)

百億の昼と千億の夜 (ハヤカワ文庫JA)

百億の昼と千億の夜 (秋田文庫)

百億の昼と千億の夜 (秋田文庫)

どうなんざんしよ...当然皆、周知既読ですわね?
...んな訳ないか。
小説が1965-66年、漫画が1977-78年で、既に現在では一般の認知度は相当落ちて来てますわな。
でもですな...現在第一線で活躍しているクリエイターで知らない人はいない。
いたとしても、その人絶対モグリ...そんな作品ですわ。

では簡単に...
『神』とは何よ...というお話。

寄せてはかえし
寄せてはかえし
かえしては寄せる波の音...
『神』は存在している。
だとしたら、何故にこの世は、どこまでも理不尽で残酷で、自ら滅びの道を歩むのか...誰ひとりとして望んでなどはいないのに。
人、都市、地球、神界、銀河、そして全宇宙へと容赦なく広がる滅び...阻止すべく闘い続ける『阿修羅王』。
最期に滅びびゆく宇宙の最果てで、この世界と『神』の真実を知る。
...な感じ。



祗園精舎の鐘の声、
諸行無常の響きあり。
娑羅双樹の花の色、
盛者必衰の理をあらはす。
奢れる人も久しからず、
唯春の夜の夢の如し。
猛き者も遂には滅びぬ、
偏に風の前の塵に同じ。
...平家物語序文。

この作家さんは、仏教的無常観を背景とした作品がお得意でして...本作品の根幹はまさにそれです。
加えて...終末救世観や、東洋・西洋の宗教・哲学やら世界観が織り込まれてますが、思想的な矛盾を無くし整合性を保つ役割を担う繋ぎが、科学法則だったりします。
まあ、般若心経だとか、宗教的世界観とかが、平然と科学法則で説明されてたりする訳ですわ。
当然、こじつけとかもあるとは思いますけど。

更には、叙事詩表現が非常にお得意でして、つまりは...宗教的背景を持つ科学用語を用いた長編叙事詩...という、何だかよく解らない構成ではありますかな。
まあ...そこが良いのです。



さて...と。
この場で書くことはもうひとつ。
滅びゆく星達...地球外の惑星の住人たちは、それぞれで、生き残るための様々な手段を講じています。
その中のひとつ、ゼン・ゼンシティが選んだ生き残り施策...

その都市の『神』は、『市民』を1枚のカードの情報に還元して保存する。
『市民』の肉体は『コンパートメント』なるカプセル状の装置に納められ『睡眠巣』なる装置に直結され肉体維持され、その精神は電脳空間に展開される仮想都市に住まう。
...まさにマトリクス。

死に瀕した市民が見せられる仮想の夢は、現実と何ら違いはないのでは...それを判ずる者は誰もおらず、我々がまさに今、その都市の住人であることを誰も否定はできない。